自律神経失調症のためのお灸治療

お灸-自律神経

お灸で自律神経が整う理由

お灸は自律神経を整うのに優れており、現在ではお灸をセルフケアとしてされている方も多いです。

江戸時代の「飛脚」は長い距離を移動するため、移動途中に足の疲れを癒すために足にお灸をしていたといいます。

足三里(あしさんり)にお灸を毎日することで病気にならないというのも有名な話です。

お灸-自律神経あしさんり

足三里にお灸をすることで胃腸の調子を整えることができます。

これは自律神経の反射で、足三里は経絡では胃経になり、足三里にお灸の刺激が入ることで自律神経を介して胃腸への血流量を上げ消化吸収がうまくいくようになります。

食べたものがしっかりと消化吸収できることで、身体は元気になります。

食べ物は東洋医学では「後天の精」と言われ、生きていくうえで必要なエネルギーになります。

後天の精を作り出すのに大切なのが胃腸です。

胃腸が元気だと身体も心も健康になれます。

その辺りから足三里にお灸をすることが健康にいいとされています。

生理学的にも腸で多く作られるセロトニンも俗に「幸せホルモン」の一つで、腸の調子がいいとセロトニンが作り出されやすくなり、精神的にも安定することができます。

そのためセロトニンが自律神経失調症にも大きく関与しています

セロトニンはほとんどが腸で作られ、セロトニンはトリプトファンというアミノ酸から作り出されます。

トリプトファンは食べ物から摂取でき、大豆製品などに多く含まれています。

しかし大豆製品を食べても胃腸の調子が悪く、うまく消化吸収できないとセロトニンを多く作りだすことができません。

まずは胃腸の調子を整えることでセロトニンが作り出されやすい環境になり、自律神経を整えるのにも大切になります。

セロトニン不足で起きる症状

セロトニンが不足すると様々な症状が出てきます。

  • ストレスが溜まりやすい
  • 疲労が取れにくい
  • イライラ
  • 向上心の低下
  • 不眠など

これらの症状が出やすくなり、これが自律神経失調症とされています。

これらのことから足三里にお灸をすることで後天の精が補われ、元気になれることが理解できます。

お灸をすると温熱効果で血流量を上げることができます。

お灸の種類にもよりますが、温かく心地よい感じになります。

皮膚上では微細な火傷ができ、神経反射で自律神経系や免疫系に影響を与えます。

特に免疫系では白血球の活動が高まり、身体に入った異物を排除しやすくなります。

ウイルスや細菌などの異物も白血球の活動により排除しやすくなり風邪などの病気も予防できる効果があります。

他にも身体に起きた炎症も修復する機能も高まり、ケガなどの復帰も早くなれます。

自律神経系では、お灸の刺激により神経反射が起き、局所の血流が良くなることや、自律神経を介して内臓への血流がよくなります。

局所の血流が改善されるのは「軸索反射」という神経の反射で、お灸をした部位の皮膚が赤くなります。

内臓への血流改善は「体性内臓反射」と言われ、お灸をした部位から神経回路を伝達し、脊髄を通って脳へ伝達され、内臓へつながる神経へと反射して伝わっていきます。

このようにして身体の様々なツボを使い、身体中の血液の流れをコントロールして自律神経を整えていきます。

お灸で使う自律神経のツボ

自律神経失調症と言っても人によって様々な症状があり、お灸をする部位も変わってきます。

いくつかのツボを紹介していきます。

足三里(あしさんり)

お灸-自律神経あしさんり

前述したように足三里は胃腸のツボです。

ツボの中でも最も有名なツボで、毎日お灸をするといいとされて、後天の精を補うにも優れたツボです。

病気知らずになれると言われるくらい、万能のツボです。

胃腸のツボなのでお腹の不調が特に効果が高いです。

下痢、便秘、胸やけ、二日酔いなど食生活の問題を解決するのにいいです。

他にも足の疲れや痛み、冷え、浮腫みにも最適です。

三陰交(さんいんこう)

三陰交(さんいんこう)

三陰交は肝、腎、脾の3つの経絡が交わるツボです。

産婦人科疾患で有名なツボですが、解剖学的に三陰交の深層には後脛骨動脈が通り、足の冷えにも最適です。

生理痛が酷い方など産婦人科系の疾患によく使い、骨盤内臓を温めてくれます。

太谿(たいけい)

太谿(たいけい)

太谿は腎のツボになります。

後脛骨動脈が近くにあるため、足の冷えにも最適です。

自律神経が乱れると、特にストレスなどによる交感神経の活動によって末端の血流が悪くなるため、末端の血流を改善してあげるとストレス緩和になり自律神経が安定します。

太衝(たいしょう)

太衝(たいしょう)

太衝は肝のツボで足先に繋がる足背動脈があり、お灸で温めることで血流が改善し、足の冷えにも最適です。

肝の状態は目にも表れやすく、目の症状にも太衝にお灸は効果的です。

目の症状は肩凝りや首凝りを招き、めまいなどの症状にも発展する恐れがあります。

のぼせやすい方にも太衝を使うことは多いです。

合谷(ごうこく)

合谷(ごうこく)

合谷もまた有名なツボで自律神経を整えるのによく使われます。

特に顔面部の疾患に使うことが多く、歯の痛みや目の疲れ、肩凝りなどにも使います。

精神的緊張も緩和されやすく、合谷と足三里にお灸をすることで副交感神経が優位になり、リラックス状態を作れます。

不眠などにもお勧めの組み合わせ方です。

中脘(ちゅうかん)

中脘(ちゅうかん)

中脘はお腹の調子を整えるのに使います。

足三里と一緒にすることで胃腸の調子が整い、自律神経を正常にできます。

下痢や便秘などにも効果的です。

天枢(てんすう)

天枢(てんすう)

天枢は大腸のツボであり、胃の経絡に属します。

大腸は便を排泄するのに働き、大腸が正常に機能していないと下痢や便秘の原因にもなります。

また大腸はハムストリングスという太ももの裏の筋肉に反射し、ハムストリングスの衰えから来る腰痛などにも大腸は大切になります。

背部兪穴(はいぶゆけつ)

背部兪穴(はいぶゆけつ)

背部兪穴は背骨沿いに縦に並ぶ、臓腑と関係の深いツボになります。

各それぞれの背部兪穴に臓腑の名前がついています。

背中なのでセルフではやりにくい部位ですが、非常に効果の高いツボになるので、家族などと一緒にやることがお勧めです。

背骨には沢山の神経が出ており、自律神経を整えるのにもとても有効なツボです。

自律神経を整えるお灸のコツ

セルフお灸-自律神経

基本的にセルフでお灸をする時は、シールで張り付けれる簡単なお灸を使用します。

火のついた部位の下に台座があり、台座の厚さで温度が変わってきます。

お灸-自律神経セルフ2

市販のお灸は主に熱さの程度ごとに分けられて販売されておりますので、ご自身の熟練度によって選ばれるのが良いです。

  • ソフト 熱さも柔らかく初めての方におすすめ
  • ライト ソフトよりも若干熱を伝えやすい
  • レギュラー レギュラーと言いつつ結構熱いので熟練者向けです
  • ハード とても熱いので火傷をする可能性が高いので注意してください

初めて間もない方などはソフトタイプから始めるのが良いです。

そこから徐々に温度を上げていって効果を実感するのがセルフお灸のコツになります。

お灸は熱でツボを刺激するだけでなく、中にはお香の様々な香りがするものもあり、嗅覚も利用して自律神経を整えることもできます。

ほとんどの方がお灸の煙の香りを「落ち着く香り」と表現するくらい、嗅覚への刺激が自律神経を安定させます

温度の調節は初めのうちは温かく感じる程度から行うことがいいです。

慣れてきたら、少し刺激的な熱めのお灸にしてみるのもいいです。

部位によっては熱すぎると化膿するくらいのやけどをする恐れがあるので注意が必要です。

もし、熱すぎて我慢できないくらいだと、皮膚から剥がしてください

ある程度ツボに温熱刺激が入れば、神経反射は起き、自律神経系や免疫系などに影響を与えてくれます。

我慢しすぎない程度に毎日続けると効果的です。

ツボが温まると血流が改善し、ホカホカとしてきます。

ホカホカとしてくるまで何回かお灸を取り換え、繰り返してあがるといいです。

目安は一つのツボに3回くらいお灸をしてあげるとツボは温まって血流が改善されてきます

そして前述したように胃腸の調子が自律神経の乱れにとても重要になってきます。

まずはどんな症状に対しても胃腸を整えることを意識してみてください。

足三里へ毎日お灸をすることで健康への第一歩です

足三里をベースにお灸をし、各不調に関連するツボにお灸をすることがポイントです。

めまいでは、肝や腎の影響が考えられるので、足三里、太衝、背部兪穴の肝兪、腎兪にお灸をするといいでしょう。

お灸をする順番として様々ですが、症状の出ている部位から遠いツボから行うことで、神経反射が起こりやすくなります。

実際逸見鍼灸でも症状の出ている部位を直接最初から治療することは少なく、遠隔部位から治療していきます

例えば頭痛に関しても、まずは全体のバランスを整えるため、足三里や太衝などの足のツボから刺激し、身体の緊張状態をほどいてから症状のある部位へと順に治療していきます。

人によっては足三里や太衝などの遠隔部だけの治療で頭痛が改善されることもあります。

それくらい遠隔部の治療から順にすることで神経反射の影響が変わってきます。

これは足や腕などの末端ではお灸をすることで副交感性に反射が起きます。

副交感性に働くとリラックス状態になり、全身の緊張していた筋肉が緩んでいきます。

リラックスした状態で患部のお灸をすることで効果はより高くなるため遠隔部からお灸をしていきましょう。

逸見鍼灸代表

逸見 裕

筆者

鍼灸師として活動しながら、東洋医学の素晴らしさを現代医学で理解することでより深い鍼灸治療を提供します。東洋医学だけではなくトレーニングやカイロプラクティックを取り入れ、人の身体に対し幅広くアプローチを行い健康社会の実現を目指します。

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